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「──つまり、何だ? ……お前は俺以外の存在に、己の身体を分け与えるような真似を許したと?」
「分け与える、って……ちょっとニュアンス違わない? 意識の権限は私にあるのよ?」
「それも、現状での話だろう。……先日までの不調は、その破滅の光とやらと受け入れた結果じゃないのか?」

 亮の手厳しい指摘に、思わず言葉にも詰まる。
 ──相変わらず、私との口喧嘩になるとこいつは、いつも以上に観察眼が鋭い。
 
 ツヴァインシュタイン博士に頼まれた作業を終えてから亮の元に戻ってすぐに、休憩として私たちはふたりでその場から席を外すことにした。
 ──尤も、現在は非常時だし、アカデミア側の動きによってはまた私たちに声が掛かる可能性もあるから、宿泊棟として関係者に開放されているオベリスクブルー寮に移動してきただけだったけれど。
 私へと与えられている部屋にふたりで戻り、本当ならばデュエルフィールドか屋外の適当な場所で、ソリッドビジョンを用いてしっかりと決闘したいところだったけれど、流石にこの状況下で皆が緊張しているときに、自分達だけが堂々と決闘を楽しむと言うのは周囲の士気を下げることになりかねないからと、どうにか亮を嗜めてから卓上デュエルを一戦交えて、──そして、私はずっと言い出せずにいた、先日の光の結社との戦いの顛末について、亮に語り聞かせたのだった。
 衛星ソーラやTHE LIGHTRULERに関する説明は、口頭のそれだけで果たして理屈が通じるものかと甚だ疑問ではあったけれど、どうやら亮は、「それがお前の語る話ならば本当なのだろう」という根拠で、ひとまずは事情を受け止めてくれたらしい。
 ──全く、流石にデュエルアカデミア本校の主席卒業生は、デュエルに纏わる事象への理解が早くて助かると、そう思って安堵した私が、そのままの冷静な語り口調で、「最終的に、破滅の光は私が引き受けることになったのだけれど」──という説明を始めたところで、しかしながら、分かりやすく亮の表情が歪んだ。

「確かに、それはそうだけれど。その症状だってもう落ち着いているし、完全に主導権は私側にあって、じきに消滅するはずよ」
「だとしても、それが再発しないという確証は? 今後、お前の身体が乗っ取られる可能性だってあるんじゃないのか」
「……それは……」
「……どうなんだ、?」
「いや……それは限りなくゼロに近い、とは思うわ……あのとき、破滅の光は既に消滅寸前だった。本当なら、私の身体を乗っ取って反撃するつもりだったんでしょうけれど」
「……其処まで分かっていて、お前は……」
「非常時よ、仕方ないじゃない。美寿知だって、私に危険が及ばないと知って提案したのだろうし」
「その美寿知とやらは、斎王の妹だと言わなかったか? そもそも、そんな人間の言うことが信用できるのか」
「できるわよ」
「何を根拠に?」
「彼女、嘘を吐いているようには見えなかったわ。だって……」
「……なんだ? 言ってみろ」
「吹雪を探していた頃の明日香と、同じ目をしていたもの」
「……お前という奴は……」

 そう言って額を押さえ、盛大な溜息を吐く亮が何を言いたいのかを理解できない程に、私は愚鈍でも幼くもない。
 ──まあ、亮が言いたいことも、そう言いたくなる理由も分かってるし、其処で言葉に詰まってしまった理由だって、よく分かっている。
 要するに亮は、「海馬ならば、それだけの根拠でも赤の他人を簡単に信用する」という確証があって、それはどうやったって止められないことも理解していて、──同時に、あの頃の明日香を私の隣で見ていた彼には、「私の言いたいことも、理解は出来てしまった」のだ。
 ──只、それでもきっと亮は、今回ばかりは私の行動を看過できないし、二度と同じような真似が出来ないように今のうちに咎めて、考えを改めさせておきたいからこそ、こんなにも食い下がってくるのだろう。

「……、お前は……」
「……何よ、亮?」
「……いつか必ず、その人の良さで身を滅ぼすぞ」
「人が良い? 冗談じゃない、私は自分のポリシーに従って、私の好きなように、横柄に振る舞っているだけよ」
「その結果、お前はいつも周囲を救い、自らの身を削っている。……カミューラと戦ったときのこと、忘れたとは言わせん」
「あのときも今回も、私は自分の判断に間違いはなかったと思ってるわ。……でも……」
「なんだ、やはり悔いが……」
「……皆を待たずに明日香を追いかけたのは、判断が甘かったと思ってる。……亮のことも待たせてしまったし……それは、本当にごめんなさい」

 ──テーブルを隔てた対面に座り、そう零すの表情は幾らか気落ちした様子で、──正直に言って俺は、の反応に面食らって、一瞬言葉が出て来なくなってしまった。
 の言うことは尤もであり、謝罪の内容には俺も同意だが、──とはいえ、がこうも素直に自分の非を認めるとは思わなかった。
 まさか、彼女から謝罪が飛んでくるとは思わなかったからこそ、俺は未だ幾らでも厳しい言葉で追及して彼女の判断を非難するつもりで居た訳だが、──先に謝られてしまっては、此方もそれ以上は何も言えなくなる。

「カミューラのときだって、そもそもの話、私と亮の間で咄嗟に導き出した最適解が食い違ったからこそ、ああなってしまった訳じゃない?」
「……ああ」
「その反省を踏まえて、私は即断即決を避けて、誰かに相談するべきだった……吹雪や十代が隣の部屋に居たって言うのにね。冷静に対処できていれば、明日香はもっと早く正気に戻れたかもしれないし、私が斎王の手に落ちることだってなかったのかも」
「……ああ、その通りだ」
「でも、……私が破滅の光を受け入れた、という結果だけはどう転んでも変わらなかったと思うわ。……だって、私以上に光の似合う決闘者があのときのアカデミアに居たと思う?」
「……似合う、似合わないという問題ではないだろう……」

 ──明日香を追い、勝手な行動に走ったのは、確かに自分に非があった。
 ──しかし、破滅の光を引き受けた行為に関しては、責められるような謂れはない。
 ──要するに、が主張しているのはそういったことだ。自分にも一定の非があり、俺を含めた周囲に相談しなかったことを反省してはいるものの、──例え、誰に相談していたとしても、彼女は最後には破滅の光を注がれる器として自らが手を上げたことだろうと、──そう、恐ろしいことには確信してしまっている。

 ──これは、一体、何と言って咎めるべきなのだろうか。
 は何事にも揺るがない、確固たる信念を強く持っている決闘者だ。例え俺の心配や助言であっても、がそれは違うと思ったのならば彼女はそんな論拠などは飲まないと経験則で既に理解しているし、──事実、今回と前回、は誰の制止をも振り切って己の決めた行動をやり切ってしまった。
 結果、今回も彼女は生還したわけであったが、──こんなことを繰り返していれば、やがては死ぬよりも先に、……人ではなくなってしまうのではないかと、……吸血鬼に魂を抜かれるどころか、超常の存在を躊躇なく受け入れる彼女を見ていたら、俺はそのような懸念を覚えてしまった。
 ──俺は、俺が死んでも彼女には、変わらずに俺だけを好きでいて欲しい。
 ……だが、“俺が死んだ後”の話がもしも彼女にとっては、三千年の孤独であると言うのならば、──それは、また話が変わってくるだろう。そんなを残して、……果たして俺は、最高の決闘が出来たところで、心残りなく逝けるのだろうか。

「──、お前は」
「なによ、亮?」
「お前は、……いつか人間を辞めて、精霊界にでも行くつもりなのか?」
「……は?」
「随分と彼方側が……精霊たちのことが大切なようだな」
「……何言ってるの? 亮……人間が精霊になるなんて、聞いたこともない……それに、アカデミアがこんなことになっているときに、それは流石に不謹慎でしょう」
「俺にとっては、それどころではない。……破滅の光の意志とやらは、人の形をしていないのだろう」
「それは、そうだけれど……」
「これから先も、乞われる度、人の形を持たない者たちに身体を分け与えて生きていくつもりか、。そんな真似を続けて行けば、お前は人間ではなくなるかもしれん。お前は俺の物だろう、。俺の許可なく他者にその身を施すのはルール違反じゃないのか、それに……」
「……亮?」
「……俺は、普通の人間と同じで、殺せば死ぬぞ。いずれお前がそうなったとしても、俺はお前と共に永遠を生きられるわけじゃない……」

 ──まるで、俺に何を言われているのか分からないと、はそんな顔をして呆然と口を開けていた。……もしも事前に俺が、正直に自らの立たされている状況を彼女に告げていたのならば、突拍子もないその言葉にも、もう少し理解が及んだのだろうが。
 ……未だ、にすべてを打ち明けるには、抵抗がある。俺の抱えた時限爆弾のことを、彼女が事前に把握していたとしても、──最期のときを回避出来るわけではないのだと、尽くせる最善などはないのだと知った上で、俺と共に足掻くことを強いる方が、……にとってより残酷な仕打ちになるのではないかと、……そう思ったからこそ、このまま煙に巻いてしまおうと考えていた。
 ──それに。……もしも、の中に俺への慈悲が生まれたのならば、俺達は最後に最高の決闘が出来なくなるのではないかと、──彼女には、宿命の好敵手として俺を殺すことが叶わなくなるのではないかと、……そんな懸念を抱いて、俺は身勝手にも彼女にすべてを打ち明けずにいたのだ。

「……亮。……あなた、まさか、何処か悪いの……? ヨハンとの決闘の後も、苦しげに見えたけれど、やっぱり気のせいじゃないのね……?」
 
 ──しかし、それでも、……どうしてか、お前には分かってしまうらしい。
 それは、が優れた決闘者であるからなのか、彼女がデュエルアカデミア本校を首席で卒業するほどに明晰な頭脳の持ち主だからなのか、──或いは、只々、彼女は俺をよく見てくれているからだという、それだけの話なのだろうか。
 確信を持った目で俺を射抜いて、俺の答えを促そうとするには、もはや先ほどまで追及される側だった弱気は見当たらず、どうやら、攻守は既に逆転してしまったらしい。
 ──遺していくのことが気がかりで、俺にはもう、こんな風に咎めることさえ叶わなくなるから、今後は彼女の意志で無謀を避けて欲しくて、……その結果に俺は、自らの無謀を吐露し、誰よりも己の弱みなどは見せたくなかったの前でこの上ない無様を晒している。

「……心臓の具合が、悪くてな」
「一体、いつから……まさか、地下に落ちた頃から……?」
「ああ。……地下での決闘は、存外身体の負担になっていたらしい……」
「……まさか、私にあの装置を使わせてくれなかったのは……」
「……あれは、死ぬほど痛いんだ。……だが、故に生死を賭けた決闘は、心地が良かった……お前とも是非味わいたかったが、……それで、が俺と同じ有様になっては、困るだろう」
「……それで、本当に死にそうになってるって言うの……?」
「ああ。……もう、長くは保たない。近頃では、装置を用いない決闘でさえ心臓の負担になっている、だが……」
「……ええ」
「それでも……俺は、決闘を辞められない」
「……だから、私を置いて死ぬの?」
「……ああ」
「だから、私にも無茶はするなって?」
「そうだ。もうじき、俺は居なくなるかもしれんからな」
「……そういうの、自分が無茶してる奴が言っても、何の説得力も無いじゃない……」
「この上なく、説得力があるだろう。お前はまだ間に合うのだろうが……俺は、既に手遅れだ」

 ──だから、二度としないと約束してくれ、と。……俺がそう告げたなら、は「一体、どの口でそんなこと言ってるのよ……」とそう言って項垂れて、──しかし、それ以上反論をしてくることもまた、無かった。
 目の前の事実に打ちのめされているのか、呆然とした瞳にはいつものように強い光は宿らず、それでも気が収まらないのか、は椅子から立ち上がると対面に座った俺の襟首を乱暴に掴み上げて、──しかし、はっとした表情ですぐに手を離そうとする、ものだから。
 ──俺は、遠ざかっていこうとする彼女の手首を掴むと、──引き留めるように、俺の首を絞めるようにの白い手を誘導して、──そうして、彼女の揺れる瞳を静かに見上げるのだった。

「……、俺はお前に情けを掛けられることを望んではいない」
「……で、も……」
「……本当は、墓まで持っていこうと思っていた。……だが、俺も打ち明けなければ、対等でなければ、お前は俺の意見など聞き入れんだろうからな……」
「……亮は、私にどうして欲しいの?」
「……最期のときまで、俺と最高の決闘をしてくれ。──生涯、俺の好敵手で居てくれ、
「……ふふ、あなたらしいわね……ほんっとに、酷い男……ムカつく奴だわ、あなたって……そう言われたらもう、私は断らないって、知ってるくせに……」
「すまん。……だが、お前が得体の知れない何かに成ることが嫌な理由は、よく分かっただろう? ……俺はを、一人にしたくはない……」

 ──これから、彼女を遺して逝くことが分かった上で、よくもそのような言葉が口を吐いて出るものだと我ながら呆れたが、それもまた俺の本心であると言うのだから、──本当に、どうしようもないと、そう思う。
 俺も本当は、このまま永遠にと戦い続けていたかったが、……どうやら俺の永遠は、もうじき終わりを迎えるらしい。
 故に、彼女だけが本当の永遠を手に入れてしまったのでは、──俺達は最早、地獄でさえも再会することが叶わなくなってしまうことだろう。……尤も、の行き先は、俺とは違って地獄などではないだろうがな。……それでもきっとお前は、俺さえ其処に居るのならば、百年後に地獄まで会いに来てくれることだろうと、それも分かり切っているこそ、……俺はお前の命を得体の知れん連中にくれてやることが、どうしたって惜しいんだ。

「まあ……亮の言いたいことは、分かったわ。……それを受け入れる気もないし、私にまで黙っていたことは許さないけれど」
「……お前も、破滅の光について俺に黙っていただろう」
「私は自発的に話したんだからノーカンよ、あなたは説得のために仕方なく、なし崩しで話しただけでしょ」
「む……それは……」
「……やっぱり、破滅の光を受け入れてよかったわ。だって、じゃなきゃ私、亮が死ぬまで事情を教えてもらえなかったわけでしょ」
「……
「そうやって睨む前に、言うべきことが……はあ、でも、そう……こんな風に口論できるのも、今だけって……いえ、それに関しては解決策を探しましょうか」
「……俺は、決闘だけは辞めんぞ」
「それは分かってるし、辞めて欲しいとも思ってないわよ」
「そうか。それなら、良いが……」
「……ねえ、亮。……あなた、これから何がしたい?」
「何?」
「きっと、恋人にこんな話をされたなら……生きている間にやりたいこと、行きたい場所、全部叶えてあげるのが良いと思うのだけれど……あなたって、決闘以外に私としたいこと、あるの?」
「……お前と、したいこと、か……」

 ──きっと、そんなものは幾らでもあるのだろうと、そう思う。
 俺とて、未練ならばあるのだ。未だに志半ばで、最高の決闘が最後に叶ったのならばせめて、自分の歩いてきた道に後悔はなかったとそう断言出来る筈だという、……きっと、これはそれだけの、決闘者としての結末についての、理想に纏わる問題で。
 それ以外にも、挙げ連ねたのならばと行きたい場所もやりたいことも、……これからどんな風に、彼女と生きていきたかったのかも、……幾らでも、俺には欲があるのだろう。
 只のライバルでよかったなら、俺は決してに手を伸ばすことも無かった。俺達は他の何よりもライバルで、──それでも、彼女は俺が渇望するたったひとりの存在なのだ。……そんな彼女に、死を覚悟した今でも俺は、未だ溢れんばかりの欲望を抱いている。

「……今は、精霊界とやらに興味があるな」
「あら、どうして?」
「如何にも猛者が多そうだろう?」
「……ふふ、あなたらしい。……そうね、それなら行ってみる? 今回の件が落ち着いた頃にでも、カイバーマンに聞いてみてあげるわ」
「……良いのか?」
「ええ。……それでちゃんと、最期は私が看取ってあげる。それに……亮のことは、私がきっちりと、この手で殺してあげるわ」
「……やはりお前は、俺の認めた宿敵だな、
「あらそう? ……安心しなさい、亮。あなたの首は、私が大切に大切にしてあげるから、……だから……」

 ──その言葉の続きを、結局、は言わなかった。
 故に俺も、それ以上は追及するのは無粋だろうと何も言わなかったが、……本当の彼女は、きっと俺を引き留めたかったのだろうと、そう思う。
 ──それでもは、ライバルであることを優先して、俺の望む言葉を余命も少ない俺に与えてくれたのだと、……あれはきっと、そういうことだったのだろう。……結局、俺はに情けを掛けられてしまったのだ。
 
 それから、再びツヴァインシュタイン博士からの呼び出しが掛かるまで、俺とは、異世界旅行について熱心に相談し、計画を組んだ。
 カイバーマンの助力を仰いだわけでもないその旅行計画は、何もかもが絵空事で、現実味の欠片もなかったが、──やれ竜と決闘がしてみたい、やれ魔王と決闘がしてみたいと、まるで子供の空想のような要望ばかりが詰まったその旅の相談をしている時間だけは、──もうじき訪れる別れも物語のひとつに過ぎないんじゃないかと、俺達はやはり永遠と戦い続ける運命にあるのではないかと、──そんな錯覚を、その夢は俺と彼女に与えてくれていたのだろう。

 
「……そういえば、他にも何か話があると言っていなかったか?」
「あ、……そうだった、忘れてたわ。近頃ね、変な夢を見るの」
「夢……?」
「そうなの。でも、夢を見たこともね、油断してると記憶が曖昧になってきちゃって……」
「……も、まだ体調が悪いんじゃないのか? 現に長いこと不調だっただろう」
「まさか。誰かさんと違ってもう絶好調よ。……でも、その夢の内容が気がかりで……」
「それで、どんな夢なんだ?」
「それがね、特待生寮で過ごしていた頃の夢なの。……でも、知らない男の子が出てくるのよ、亮と吹雪の他に」
「……まさか……それは、浮気か?」
「馬鹿言ってないでちゃんと考えてよ……黄緑色の髪でね、亮と吹雪くらいの身長で……そんなひと、特待生寮にいたっけ? 亮は心当たりとかない?」
「いや……俺も記憶にないな。特待生寮にそんな奴が居たか……?」
「やっぱり、亮も覚えてないか……」
「錬金術の授業で出た行方不明者リストを洗うか、或いは吹雪ならば、顔が広いから心当たりもあるかもしれんが……そもそも、その男は本当に存在するのか?」
「でも、彼は何度も夢に出てくるのよ? 流石に不自然じゃない? 破滅の光の件の後から、ずっと夢に出てくるのよ、そのひと……」
「破滅の光の影響で、幻覚か何かを見ているんじゃないのか? 或いは、他人に植え付けられた記憶だとか……」
「それにしては、いつも妙に具体的な内容なのよね……まるで、本当にあっても良さそうな話なのよ」
「……例えば、どんな?」
「例えばね、特待生寮で、その男の子の部屋に集まって、四人でデッキを……」


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